日本学術会議 政府から独立した立場で提言 対立も



日本学術会議は「学者の国会」とも呼ばれ、政府から独立した専門家の立場で、社会のさまざまな課題について提言を出してきました。1954年には米ソの核兵器の開発競争が加速し、太平洋のビキニ環礁で行われたアメリカの水爆実験で、第五福竜丸の乗組員が被ばくするという時代背景のもと、日本学術会議は、原子力の研究と利用について平和目的にかぎり、「民主、自主、公開」の三原則が十分に守られるべきであるとするいわゆる「原子力三原則」の声明を出しました。この原則が翌年に制定された「原子力基本法」にも盛り込まれるなど、日本学術会議の提言は政府の政策に一定の影響を与えてきました。日本学術会議の提言は、政府を拘束するものではありませんが、提言の内容をめぐって、政府与党の方針と対立することはこれまでにも起きています。日本学術会議は、先の大戦で科学者が協力したことへの反省から、1967年に「軍事目的の科学研究を行わない」とする声明を出していて、この声明から半世紀となる2017年、軍事的な安全保障の技術研究との関わり方について、新たな声明をまとめました。これは、防衛省が大学などに研究資金を提供する制度を始めたことを受けてまとめられたもので「将来の装備開発につなげるという明確な目的に沿って公募や審査が行われ、政府による研究への介入が著しく、問題が多い」と指摘し、それぞれの大学などに対して、軍事的な安全保障の技術研究と見なされる可能性のある研究について、その適切性を技術的・倫理的に審査する制度を設けるなど、慎重な対応を求めています。この声明がまとめられる前の段階で、当時の菅官房長官は、防衛省が始めた制度について、参加は研究者の自由意思によるもので、懸念はあたらないという認識を示しました。一方で、日本学術会議は、政府から求められて政策への提言を出すこともあります。2012年には原子力発電に伴って出る高レベル放射性廃棄物、いわゆる「核のゴミ」の処分について、国の原子力委員会から見解を求められ、「国の計画は行き詰まっていて白紙に戻す覚悟で見直すべき」などとする提言をまとめました。このほか、日本学術会議は、時代に応じて幅広い分野で提言を出しています。3年前には遺伝子を自在に書き換えることができる「ゲノム編集」の技術で、ヒトの受精卵の遺伝子を改変することなどについて、国が指針を作って規制すべきだとする提言や、LGBTと呼ばれる性的マイノリティーの人たちの権利を守る取り組みの遅れを指摘し、同性どうしの結婚を認める、法改正を行うことなどを求める提言を出しています。ただ、提言の多くは国の政策などに十分生かされていないという指摘もあり、日本学術会議では3年前から各省庁や経済界など、研究者以外からも意見を聞いて提言を作成するなど、より具体的に政策に生かされやすい提言を増やす取り組みを進めているということです。



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